

金子則彦
従来から言われてきている“社会保障の充実は、国の経済成長にとって追い風となる”との議論は、国民が国家財政の持続性を疑うことがないとの前提で成り立つとされています。医療費はじめ社会保障費が増えかつ充実すると経済成長も後押しされますが、金利はむしろ上昇する為に、国債依存度が極めて高い日本の財政にとっては大きな負担を招くことになります。従って国民は国家財政の持続可能性に疑問を持ちはじめ、消費を控え貯蓄することになるはずです。このような時代にあっては、財政規律なき積極的社会保障政策では良き経済循環は望めません。その議論に立って、医療費はじめ社会保障費に財源をどう再配分するか政策立案していくことが求められるのです。
現在、我が国の社会保障とその財源論議については、以下の3点に集約されるでしょう。
@目的税として社会保障に使途を限定した、負担増を支持する立場。A負担増より先ず政府の無駄を排除して財源を確保するとの立場。B社会保障への再配分を必要最小限にとどめるとの立場。
Aについては、社会保障費への財源を特別会計から確保するとの考えがありますが、特別会計の使途目的から考えても簡単に回せるものでないし、また公共事業についても、削減されていく一方の昨今、これ以上社会保障費に回す余力はないので、結局非現実的な議論に終わったのは現政権下で実証済みです。Bでは、「混合診療全面解禁」はじめ、TPP参加の是非をめぐる議論等が盛んであるものの、やはり我が国「皆保険制度」存亡の危機を招かざるを得ない点は否めません。@については、社会保障の位置付け・役割を理解し得ない人、理解したとしても負担増までは理解が及ばないか反対する人が依然として多く存在し、その道のりは困難が予想されるものの、結局ここに行き着かざるを得ないだろうと言われています。
(つづく)