2014.06.01

血圧正常値、147mmHgまで大丈夫って本当?

最近、「血圧値が140mmHgまでが正常上限であったのものが、147mmHgまで大丈夫になった」という話を聞いたことはありませんか?一部でこのような報道がなされているようです。さらに「血圧を気にしなくても大丈夫」などの報道までエスカレートしているところもあるようです。

しかしお医者さんに聞くと「血圧の正常値は、診察室では上は140mmHgまで、下は90mmHg」との答えが返ってきます。これはどうしたことでしょうか。

今回の話題は、日本人間ドック学会という学会が発表した「新たな健診の基本検査の基準範囲 ?日本人間ドック学会と健保連による150万人のメガスタディー?」という報告がなされたことがきっかけです。この報告は、現在血圧以外全く正常な方の血圧分布を検討した結果、それらの方々のほとんどが含まれていた血圧の範囲を導き出しましたものです。これが血圧147mmHgまでが上限値という結果であったのです。つまりこれは「現在健康な状態の人の血圧の値」にすぎません。それを「正常値」と混同した一部のマスコミが大々的に報じているのです。

現在日本高血圧学会が推奨する血圧の「正常値」とは、ある町を50年以上にわたり血圧と病気の発病について観察されたデーターをはじめとした様々な研究結果から、血圧値と病気との発症率から導き出された「今後の脳卒中や心臓病の発病を予防し得る血圧値」です。

基本的に高血圧の治療は、これからの動脈硬化の進展を予防し脳卒中や心臓病の予防のために行われるものです。現在が健康であったからといって、将来病気にならないとは限りません。

現在血圧の正常値とされているのは、下記の通りです。

診療所で測ったとき:140mmHg未満、90mmHg未満

家庭で測ったとき :135mmHg未満、85mmHg未満

(自宅で家庭用血圧計で測る血圧の方が少し低くなると言われています。また、診療所と自宅で測った血圧が大きく異なる場合は自宅の血圧を優先することになりました。自宅での血圧は必ず2回以上測定し平均値を記録してください)。

一部では安易な報道もなされているようですし、また血圧以外にも「脂質異常症」の値についても同様な結果が出ております。区民の皆様が、このような報道に惑わされ健康を害することがないことを心から願っております。

大森医師会 公衆衛生担当理事 鈴木 央