天皇陛下も、愛子さまも、患ったマイコプラズマ肺炎とは
 

■マイコプラズマ肺炎(子どもによくみる肺炎)

 本症は、肺炎マイコプラズマ(以下マイコプラズマ)を病原体とする呼吸器の感染症です。飛沫感染や接触感染によって感染し、2〜3週間の潜伏期間の後に発症します。感染には濃厚接触が必要ですので、保育園や幼稚園、学校、家庭などの閉鎖環境で感染しますが、短時間に菌に接触しても感染することはありません。本症は成人が20%、子どもで80%ですので子どもが主にかかる病気です。本症は秋から冬にかけてよく流行しますが、肺炎をおこすのは感染した人の3〜5%です。 かつては4年ごとにオリンピックの年に流行してましたので「オリンピック病」といわれましたが、1999年以降は、その傾向は崩れたとはいえ、ある程度の周期性で流行してますので、これが本症が流行する原因の1つとなっています。

肺炎の原因となる病原体
細菌
マイコプラズマ(細菌)
ウイルス
細菌
1mmの1/100ほどの大きさ
マイコプラズマ
1mmの1/1000ほどの大きさ
ウイルス
1mmの1/10000ほどの大きさ
細菌はかぜ、扁桃炎、気管支炎、肺炎をおこす。 マイコプラズマは気管支炎、マイコプラズマ肺炎をおこす。 ウイルスはかぜ、肺炎、気管支炎、インフルエンザなどをおこす。

●マイコプラズマ肺炎を早くみつける方法


 かぜをひいた後、咳が目立ちはじめ、咳で夜間寝られない、咳が1週間以上も続く場合は常に本症を疑います。
 本症は聴診器で胸の音をきいても正常のことが多く聴診器で診断することはできません。そこで胸のレントゲン写真と撮ってみることが早期診断につながりますが、レントゲン写真は様々ですので、本症に特異的な診断法とはなりません。
 本症の確実な診断法は血液検査でマイコプラズマ抗体を調べることです。抗体価が高度に陽性(ある)に出た場合は、本症と診断します。


 

●主な症状
 かぜの症状がでて3〜5日すると、乾いた咳が次第に増強し、熱がさがった後(熱もない場合もある)も長期(3〜4週間)にわたって持続します。マイコプラズマには気管支の細胞を次々に破壊する能力はなく、また分泌も亢進させないことから、咳はひどくても痰の少ないから咳です。しかしウイルスとの混合感染を起こしている場合は通常のかぜと同様に鼻水や痰のからんだ咳となります。咳は寝るときと朝方など夜間にひどくなることが多く、このため百日咳(○○p)と区別することが必要です。
 咳をすると胸が痛いという場合は、かなりの確率で本症が疑われます。胸が痛くなるのは、マイコプラズマは感染した細胞内に過酸化水素などの活性酸素を過剰に産生させ、下気道(細気管支、○○p)の細胞を軽く損傷するからです。
 ゼイゼイ、ヒューヒューという喘鳴がきかれることがありますが、通常は2〜3日で消えます。しかし、気管支喘息の子どもが、本症になると喘息は一層悪化し、しかも喘息発作は長びきます。喘息発作が悪化し、長びく理由は、マイコプラズマ肺炎を起こした菌量の10分の1程度でも気管支は刺激されてしまうからです。
 マイコプラズマ肺炎は、肺炎球菌などの肺炎に比べて軽く、別名「歩いていられる肺炎(寝込まないですむ肺炎)」ともいいます。実際に咳のわりには全身状態はよく、日常生活を送りながら治すことができます。
 咳は通常は2〜3週間で自然に治りますが、1カ月以上続くこともあります。
 合併症は子どもには少ないのですが発疹(滲出性紅斑様発疹、結節性紅斑様発疹)を伴うことがあります。まれに脳炎(○○p)、多発関節炎(あちこちの関節が痛くなる)、心筋炎(○○p)を伴うこともあります。一方、30歳代を中心とした大人では重度の呼吸障害や細気管支炎(○○p)をおこして重篤となることがあります。
 マイコプラズマ肺炎は感染しても終生免疫ができませんので、一生の間に何回でも感染を繰り返し肺炎になることがあります。

 

 

●治療
 治療に用いる抗生物質はセフェム系、ペニシリン系は全く効果がなく、マクロライド系を服用すると、ほとんどの場合は2〜3週間で治すことができます。

家庭の看護で気を付けてほしいことは、少しでも咳が出ないようにする環境作りです。

  1. タバコの煙、においを避けること。
  2. ホコリを避けること。
  3. 温度の変化(暑い、寒い)を避けること。
  4. 運動を避けること。
  5. 部屋の乾燥を避けることなどが重要です。

そして実際に咳が出ている時は、

  1. 冷たい水を飲ませること。
  2. 小さい子供であれば抱っこして背中をたたいて痰を出させることなどです。

●肺炎での登園・登校の基準
マイコプラズマ肺炎に限らず、すべての肺炎は熱が下がり激しかった咳がおさまってきたら登園・登校できます。しかし、@深呼吸をしただけで咳が出る、Aちょっと走ると咳込む場合は、体育の授業はお休み(見学)です。

(文責・宮下守)