第二回

少し具体的な話をするために、今回、救急医療機関の役割分担について考えてみましょう。

夜間や休日にケガをしてしまい、救急車を呼ぶまでもないがどうしても気になるので受診したい時、皆さんならどこに受診するでしょうか?残念ながら診療所の「かかりつけ医」はこの時間帯ほとんど休診なので、なるべく近くの救急病院を受診することになるのでしょう。

この地域にあっては、東邦大学病院、昭和大学病院、二つの大学病院があり、どちらも三次救命救急センターとして、それこそ命にかかわるような大病や大ケガの患者さんの治療に日夜あたることを使命・役割としています。もしもそこに、先きのような軽傷と思われる患者さんが受診するなら、命に直結する重症、重傷の患者さんの治療に支障を来たしかねないということになる訳です。

救急病院については、初期(一次)、二次、三次救急と振り分けがなされ、夫々以下のような役割分担がなされているのです。

一次(初期)救急自力での来院が可能で、入院を必要としない軽度な症例。
急変の恐れもなく、応急処置程度で済むケース。
二次救急診療所等、初期救急医療機関での対応が困難な症例。
入院さらには手術を要するケース。
三次救急二次救急医療機関では対応困難な症例。生命の危機が切迫するような重症例で、
高度あるいは多診療科にわたる総合的治療が求められるケース。

無論、前回も述べましたが、一次、二次、三次と明確に分けられるものでなく、むしろ渾然一体となっているのが実際のところなのですが……。

“明日までは待てない、やはり今のうちに診てもらいたい”との比較的軽傷な場合(どのような時が重傷で、どのような場合は左程緊急性がないのか、皆さんにとってなかなか判断できかねるのも良くわかりますが、特に「頭痛」や「おなか、胸の痛み」あるいは「息苦しさ」等と違っていわゆる“切った、ぶつけた、擦りむいた”等のケガの場合、その程度が素人目にも比較的判断し易いと思っています)、救命救急を担う高度な病院でなくその他の二次以下の救急病院へ先ず受診することを是非ともお願いします。なおその際、いきなり受診するのではなく、とりあえず電話して病院側の受け入れ体制、混雑状況等を確認した上で受診されるのが良いでしょう。

自らの行動によって、命に直結するような患者さんが後回しにされてしまう可能性に想いいたさねばならないのではないでしょうか?

尚、救急の時に困ったなら、東京消防庁ホームページ上の「東京版救急受診ガイド」を参照するか、東京消防庁救急相談センターを利用して下さい。

東京版救急受信ガイド(ウェブ版)URL

・パソコン・スマートフォン
 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-kyuuimuka/guide/main/

・携帯電話
 http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-kyuuimuka/guide/m/00kiyaku.html

・東京消防庁救急相談センター
  #7119

また、「東京版救急受診ガイド」冊子については、最寄りの消防署にて入手可能ですので相談されるとよろしいでしょう。